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コブシの花が好きだ! |
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中央アルプスの経ヶ岳山麓に、太ったクリスマスツリーの形をした大きなコブシの木がある。 今年の伊那谷のコブシはどれも、いつになくたくさんの花をつけた。この地方ではコブシの花が多くつく年は、豊作との俚諺がある。真っ青な空をバックに輝くように咲くコブシは、見上げる僕の気持ちを清々とさせてくれる。しかし豊作はほんとうだろうか。例年になく寒く、アルプスの嶺々にはいつまでも山の雪が多く残っている。 | |
天狗岩を登っていて怒られた! | |
中央アルプスの宝剣岳の木曽側には、天狗の顔のように見える岩がある。そのままに「天狗岩」と言う。高さはおよそ70m、ほとんど垂直の壁である。以前この岩場の「駒峰ルート」でロッククライミングをしていたとき、それを見ていた自称営林署職員と言う小太りのおやじに怒られた。「そんなところを登りゃあ、あぶねえじゃねえか。子どもが真似でもしたらどうするだあ!」宝剣岳周辺が登攀禁止になる前の話だ。「3000m近い山まで登ってきて、こんな真似をする子どもがいったいどこにいるってえんだ。」とは言い返さなかったが、岩登りに危険はつきものだ。責任は他人や社会にあるのではなく、すべて自分にあるのが本当の趣味の世界というものだ。写真右奥のスーッとした山は、僕の大好きな静寂の三の沢岳である。 |
燃えてしまったバス停。 |
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伊那市西箕輪中条地区の子供たちは、毎週日曜日の朝8時になると箒と雑巾を持って公民館に集まる。地区内にある2ヶ所のバス停を、手分けして掃除をするのだ。1年生から6年生まで合わせても24人しかいない。子供たちは上級生を中心に、みんなが使うバス停をせっせと磨き上げる。もう40年以上も途切れることなく続いているが、2年前の火事で写真にあるバス停が燃えてしまった。子供たちはとて悲しんだが、嬉しいことに地元ではバス停再建の話が持ち上がっている。 |
森の巨人たち百選 | |
伊那谷と木曾谷をつなぐ権兵衛峠の標高は1523mで、古い歴史をもつだけあって石碑が多く建ち並ぶ。この峠から南へ20分ほど登ったところに、今年林野庁が「森の巨人たち百選」として全国から選んだジャンボカラマツがある。シラビソ・コメツガ・ミズナラ・オオカメノキ・トチなどの林のなかに、のっぽの天然カラマツがそそり立つ。高さは34mあるという。凛とした姿がいい。カラマツとは思えない木肌に顔を寄せて見上げていると、巨木から勇気と希望を与えてもらえそうな気がしてくる。ただこの「ジャンボカラマツ」の名前はどうにかならないかと思う。山道の途中にある看板には、縮めて「ジャンカラ」ともある。もっと気の利いた名前がありそうなものだが。 |
カタクリとニリンソウを見に行った! |
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「もうボツボツ咲く頃かなあ」と気になりだすと、カメラとビールを背負い、オフロードバイク(旧式オンボロのハスラー250)にまたがって山へ向かう。と言ってもその場所までは時間にして10分ほどだから、わざわざ遠回りをして春の雰囲気を味わう。家から川の音を聞きに小沢川へバイクを走らせ、段丘斜面の雑木林の新緑を見ながら、ごきげんのミニツーリングだ。いつもの場所には、はたして山一面にカタクリが咲いていた。風がフッと動くと、うつむいて咲くカタクリの花が一斉に首を振る。こんな自然が身近にあることがうれしい。あんまりいい天気に缶ビール一本ではちょっと寂しすぎた。 |
坂本天山が刻んだ勒銘石を見た | |
ミュージシャン「天山」のいわれは、高遠出身の砲術家、坂本天山にあることは知られているが、坂本天山が1784年(天明4年)西駒ヶ岳の前岳で刻んだ勒銘石は、ミュージシャン天山も見たことがないと思う。この写真がその勒銘石(復刻)である。赤茶色の岩に刻まれ、「霊育神駿 高逼天門長鎮封城 維獄己尊」の文字が読みとれる。「西駒ヶ岳の霊が神の乗る馬を育て、その頂は高く天門にせまる。この山が長く伊那谷の平和を守ってきた。何と尊い山ではないか」(上伊那教育会・西駒ヶ岳登山案内」より)と言う意味だそうだ。コマウスユキソウの咲くこの場所は、中央アルプスロープウエイの喧噪が間近に届く。もう少し静かな雰囲気で山を楽しみたいものだといつも気になるところだ。 |
ため池は格好のビオトープ! |
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伊那市内には、潅漑用のため池がとても多い。昔からある堤を確認したところ、およそ50ヶ所あった。ため池の多くは、水利の悪い場所に集中するが、比較的集落の上方に造られていることが多い。ひっそりとした池に訪れる人は少なく、野鳥にとってはまさに天国だ。カモ類・ミソサザイ・カワセミ・アオサギには何度も会った。きっとため池には、メダカ・タガメ・ミズカマキリ・コオイムシ・タニシ・タイコウチ・フナなどが棲み、健全な生態系が保たれているのだろう。ため池は歴史と豊かな生物相の他に、水面に映る中央アルプス・南アルプスの優れた景観も楽しませてくれる。写真は明治の初期に造られた「上戸の堤」で、集落の下にあって、いつもアヒルの夫婦がいる。 |
イワナを食べたイワナ! | |
天竜川水系の三峰川へ釣りに出かけた。10数匹釣り上げた頃、おなかの妙に膨らんだイワナが釣れた。35cmのイワナが15cmほどのイワナを飲み込んでいたのだ。こう言うことはたまにある。どれほどおなかが一杯でも、イワナはエサが流れてくれば食いつく。生きるためにとてもどん欲な魚なのだ。長野県では、太平洋に流れる天竜川と木曽川の水系にはヤマトイワナが、また日本海に流れる千曲川・姫川の水系にはニッコウイワナが自然分布している。否、いるはずだが、現実はそうではない。放流事業ですっかり混生してしまい、本来いるべきイワナがいなくなっている。川にイワナがいればいいって言う問題じゃあない。どんなイワナがいなければいけないのかにこだわりたい。 |